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盆栽用具が世界から高評価 刃物製造工の川澄寛国さんに黄綬褒章

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2017.4.28 東京新聞

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 2017年春の褒章受章者が発表され、県関係では社会奉仕に従事した緑綬に1人と2団体、業務に精励した黄綬に6人、公共利益へ尽力した藍綬に21人(東京都内在住者含む)が選ばれた。このうち、黄綬褒章を受章した刃物製造工の川澄寛国さん(66)に、ものづくりに込める思いを聞いた。 (牧野新)
 包丁やメスなど幅広い刃物を手掛ける川口市朝日の「昌国」の三代目。中でも剪定(せんてい)ばさみなど盆栽用具は世界から高評価を受ける。
 幼い頃から自宅近くの工場が遊び場。刃物づくりの現場が身近にある環境で育った。祖父が創業した「昌国」を父が継ぎ、川澄さんも当たり前のように跡取りとして働き始めた。
 祖父が開発した日本初の盆栽用剪定ばさみ「NO01」は改良を重ねながら今も作っている。表面の着色が全てはげ落ちるほど使い込んだ剪定ばさみの研ぎも依頼される。「そんなお客から『昌国は間違いない』と言ってもらえた時はうれしかった」と笑う。
 丈夫で長持ちする剛健さだけでなく、なめらかな使い心地になるように神経をとがらせる。パソコンが普及する前から、刃の角度を細かく計算できるコンピューターでの設計を取り入れ、精密さを高めた。
 全工程を手作業で行う職人もいるが「こだわりは好きじゃない。結果が全て」と言い切る。積極的に機械を使い、正確な仕上がりを求める。年に数回しか使わない機械もあるが、それも「結果」のために手入れを惜しまない。
 一方で、「手でないと分からない感覚がある」と研ぎなど重要な工程は手作業で行い、川澄さんは最終チェックに目を光らせる。
 昭和初期から愛され続ける名品を生み出した祖父と、ハンマーでたたく度に刃の形を変え完璧な品物を作った父。「二人の天才」(川澄さん)が築いた昌国の歴史を確かに進めてきた。
 今回の受章には「まだまだ父親にかなわない。生きていたら怒られてしまう」とおどける。
 樹木医資格を持ち、自宅にはモミジやケヤキなど百以上の盆栽がある。休日には試作品で手入れしながら改良の余地を探す。
 「ずっと現役でいたい。まだまだやることがあるんです」とさらなる挑戦に意欲を見せた。


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