石垣島最後の鍛冶屋、「森の名手」に認定 伝統工法で島の農水産業に貢献
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/162430
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森に関わる生業や地域生活に密着した営みで優れた技術を有する達人を国土緑化推進機構が認定する「森の名手・名人」(加工部門)に、沖縄県石垣市大川でカンジャーヤ(鍛冶屋)を営む池村泰欣(やすよし)さん(68)が選ばれた。池村鍛冶屋の3代目で、八重山では「最後の鍛冶屋」。96歳で他界した父泰仁さんから継いだ伝統的な手打ち工法で農具や漁具などを製作し、40年余り人々の暮らしを支えている。
約90年前に鍛冶屋を開業した父の背中を見て育ち、一時期は沖縄本島で鉄鋼業関連会社の技術者として働いた。20代後半で島に戻り、2代目の義兄から家業を受け継いだ。依頼者の細かな注文に応えながら新たな工夫も重ねている。
かつて市街地近くには多数の鍛冶屋が軒を連ねた「カンジャーヤー通り」があったが、現在残るのは池村鍛冶屋のみ。電子ハンマーを使わずに、熱した鉄をハンマーで打ち付ける「手打ち」は、県内でも池村さんだけだという。
廃車のばねなどの鉄を材料に、客の要望に合わせて島に適した機具を製作。土の性質や石の多さなど島ごとに違う環境に合わせ、山刀「八重山ヤマンガラス」などの山林具や農具などに工夫を凝らし、大きさや形を変えている。
「森の名手・名人」認定は県内19人目で八重山では5人目。23日の伝達式で、県緑化推進委員会の平良喜一理事長から認定書を受けた池村さんは「突然で驚いたが、大変光栄。手打ちの仕事なので力がいる。これからも体が続く限り島に合った鍛冶造りを心掛けたい」と抱負を語った。
推薦した中山義隆市長は「長年、依頼にマッチした製品を作り、八重山の農林水産業に貢献いただいている。使う方々の声をくみ取って素晴らしい製品を作り続けてほしい」と激励した。
2017.10.30配信 沖縄タイムス