島根県から「師匠」、ものづくりの心引き継ぐ
山口県宇部工高(中村圭治校長)の2年生有志81人が、ものづくりの原点といわれる古代たたら製鉄の復元操業に挑んでいる。同校卒業生で、日刀保たたら村下職(技師長)の木原明さん(82)=国選定保存技術保持者・玉鋼製造(たたら吹き)、島根県奥出雲町=が指導。生徒たちは、現物と向き合い五感で悟る匠(たくみ)の技に接し、ものづくりの厳しさと喜びを味わっている。
文化祭「山工祭」の一環で、5年目。メンバーは7日から高殿の設置を始め、下灰作り、炭の子割、釜土練り、築炉など一連の作業に取り組んできた。25日午前0時に火入れし、8班が3時間ごとの交代制で操業。夜中も寒さと強風に耐えながら、5分間隔で砂鉄と炭を投入した。ふいごで風を送り、午後に玉鋼の元になるけらを出す。木原さんは「釜土が十分混練され、炉床、炭割りなど、入念な準備ができていた」と褒め、「見えない仕事も重要。総合力が最終結果につながる。この体験を今後の自信に」と生徒に期待。
生徒たちは「燃やした木炭を穴にたたく下灰の作業では、鼻や耳に炭粉が入り、目に染みた。機械を使わずみんなで一から作り上げる作業は、やりがいと達成感がひとしお」と話していた。
2017.11.25 宇部日報