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鍛冶職人目指し日々修行 日本刀の美に魅せられ広島からIターン

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「鍛錬」の修業に打ち込む小林憲生さん=雲南市吉田町吉田

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広島市から島根県雲南市吉田町にIターンした小林憲生さん(55)が、鍛冶職人を目指して修業を積んでいる。10月に「鉄の歴史村地域振興事業団」(雲南市吉田町吉田)の鍛冶工房に就職。工房所属の唯一の職人として、近代たたらによる和鋼を使った小刀などの制作を目指しており、日本遺産の認定を受けた、たたら製鉄の歴史に彩られた地で「人口減少が進む地域の活性化に役立ちたい」と意気込んでいる。
 小林さんが職人の道を志したのは5年前、病床にあった父親の古美術品を実家で整理していた際、十数点の脇差を発見したのがきっかけ。処分のため、足を運んだ広島県尾道市の古美術店に飾ってあった日本刀を眺め、刀匠によって異なる刃紋の美しさに目を奪われた。
 広島市内の物流会社に20年以上勤めていたが、3人の子どもが独立したことで「残りの人生は自分の好きなことに挑戦したい」と決意し、弟子入り先を探していた。
 しかし、受け入れ先が見つからず、雲南市内で開かれた近代たたら操業体験に参加するなどして刀鍛冶への思いを強くしていたところ、今年7月に職人が退職し、後継者を探していた同事業団に臨時職員として採用された。
 広島市に妻を残し、単身移住。地元の刀匠に指導を仰ぎながら、熱した鉄をたたいて伸ばし、折りたたんではたたく「鍛錬」など基礎技術の習得に没頭する。熱する温度や時間、たたき方など、繊細で根気のいる作業を体に染みこませようと修業に打ち込んでいる。
 島根県内では高齢化や後継者不足で鍛冶職人が減少しており、工房を訪れる観光客から掛けられる「あなたの商品を楽しみにしている」という言葉に、気持ちを引き締める。
 「いろいろな縁があって自分の好きなことができる。感謝の気持ちでいっぱい」。一人前の職人になるための道のりは長いが、地域活性化という形で恩返ししようと、厳しさが増す山里の寒さに負けず、精進を続けている。

山陰中央新報社 2017年12月20日

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