◆「長良隕石」と命名
岐阜聖徳学園大(岐阜市)などの研究グループは1日、2012年に岐阜市で発見された石が、鉄やニッケルの合金からなる「鉄隕石(いんせき)」とする分析結果を発表した。国内での隕石発見は14年ぶり、51個目。発見場所にちなんで「長良隕石」と命名し、国際隕石学会から先月承認された。分析した東京大大学院の三河内岳准教授(惑星物質科学)は「(46億年前の)太陽系の惑星ができる歴史をたどれる貴重な試料」と評価した。2日から6月末まで市科学館(同市本荘)で展示される。
研究グループによると、長良隕石はさびたような黒褐色で、幅約20センチ、奥行きと高さが約15センチ。重量は約6・5キロ。ゲルマニウムを多く含む「ⅠAB」に分類される。同型の発見は国内初。小惑星帯で別の隕石と衝突し、約100~300年前に地球に落下したと推測される。
太陽系では約45~46億年前に高温ガスがちりとなった微惑星ができた後、ちりが溶けて集まり原始惑星が形成された。長良隕石はその中間にあり、岩石より金属を多く含むことから、原始惑星に近い天体から生じたものと分析した。
長良隕石は、会社員三津村勝征さん(74)=同市長良大前町=が12年10月、同市長良宮口町の畑で発見。17年6月に岐阜聖徳学園大の川上紳一教授(地球惑星科学)の元に持ち込まれ、東京大大学院や国立極地研究所などの専門家でつくる研究グループが鉱物組成分析などを行った。
岐阜聖徳学園大で開かれた会見で、川上教授は、長良隕石と、1913年に揖斐郡旧坂内村(現揖斐川町)で発見された鉄隕石が同一落下の可能性があるとし「今後も県内で同様の隕石が見つかるかもしれない」と述べた。今後、別の研究機関とともに年代測定なども進める。
県内ではこれまで羽島郡笠松町など4カ所で隕石が見つかっている。