美術品として人気が高く、刀剣を擬人化したゲームの影響で若い女性を中心にブームとなっている日本刀だが、その研ぎに不可欠な天然砥石といしの産出が途絶えつつある。かつては全国200か所近くで採掘されていたが、人造砥石の普及に押されるなどし、今では数か所の産地を残すのみに。人造砥石では刀身の独特の輝きを引き出すのは難しく、日本刀の研師とぎしらは危機感を募らせている。
「希少なものは、この5年で値段が20倍に高騰した」。京都市左京区で日本刀の研磨を専門に手がける研師の玉置城二さん(45)は、ため息を漏らす。今では高い砥石は数十万円にもなる。
刀匠が鍛えた刀を磨き、刃先近くで波打つ「刃文はもん」や、木目のような刀身の模様「地肌」を美しく浮かび上がらせ、美術品の域まで高めるのが研師の腕の見せ所だ。