宇部日報 2018.10.22
全国産業教育フェアで古来のものづくり披露
山口県宇部市宇部工高(中村圭治校長)の2年生有志41人が20、21の両日、山口ゆめ花博会場で開かれた第28回全国産業教育フェア山口大会で、奈良時代から伝わるたたら製鉄の復元操業を披露した。築炉から始まり、夜通しでの作業となったが、生徒たちは先人の知恵や苦労を学んだ。たたら製鉄は粘土で作った炉に砂鉄と木炭を交互に入れ、日本刀などの材料となる玉鋼を作る製鉄法。炉に風を送りながら3昼夜も続けたと伝わっている。同校では5年前から文化祭で取り組んでおり、校外での作業は初めて。20日の昼から築炉に取り掛かり、午後10時ごろに木炭を投入。日が変わって午前1時ごろからの操業は午後0時半まで約11時間半も続き、生徒たちは多目的ドームで仮眠を取りながら、1班4時間の4交代制で古来製鉄の復元に努めた。
生徒自らが灰作りと炭割りから築炉、操業、炉の解体、玉鋼のもととなるけら出しまで体験。指導には、島根県奥出雲町で現在もたたら製鉄を続ける同校卒業生の木原明さんを招き、昨年経験した3年生8人も指導係として後輩を支えた。たたら製鉄の復元操業を担当している伊藤一先生は「高校生によるたたら製鉄の操業は全国の高校でも本校だけ。ものづくりの精神と匠(たくみ)の技を学ぶ絶好の機会。操業を通して就職の幅も広がっている」と話した。同フェアは専門高校などの生徒による学習成果発表の祭典。山口大会は「さんフェアやまぐち」と題して多目的ドームで開催し、県内校を中心に作品展示や体験、介護技術や調理のコンテスト、ロボット競技大会などが行われた。
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