刀作りに用いる道具に感謝する「鞴(ふいご)まつり」(伊達観光物産公社主催)が4日、伊達市梅本町のだて歴史の杜黎明観にある刀鍛冶工房であった。鞴は金属を熱する炉の送風装置で、製鉄や鍛冶の守護神とされる。この神に感謝し、刀鍛冶らが刀剣鍛錬神事を奉納した。秋の空気にトンテンカンと大づち、小づちの音が響いた。
関係者が玉串を祭壇にささげた後、刀匠の渡辺惟平さん(69)と、弟子の菊地伸拓さん(33)が鍛錬した玉鋼を奉納した。渡辺さんは「弟子が取り組んでいる刀がうまくまとめられるよう叱咤(しった)激励した1年だった。来年は飛躍の年にしてほしい」と期待した。
むろらん刀談義を長年主宰していた縁で刀匠の渡辺さんと親交が深く、現在も札幌市西区民センターを拠点に「さっぽろ刀談義」を主宰する鳥羽達一郎さん(89)は「日本独自の作刀文化が失われつつある中、市の理解のもと企業などに属さずに技術を伝承している希有な取り組みで素晴らしい。絶対に絶やしてはいけない」と、神事に臨み、ものづくりの原点を敬う大切さをしみじみと語った。(野村英史)
2018.11.5 室蘭民報