朝倉健太郎
B5判・約400頁 \8500(税抜)
概要
刃物の本は多くあるが、これまで刃物の本は包丁や大工道具、砥石に限定されたものが多い。
刃物ではないが研ぎ方などの本がある。外観が紹介されたもの、歴史を紹介されたものなどが多い。
意外と思われるかもしれないが、日本刀の書籍は多い。本書では「刃文が何か」を補足。またGHQ
命令によって隠されたさびた日本刀、および軍刀を調べている。刃物と刃角、金属組織、硬さなどを
詳しく説明している本は少ない。
これに対して本書では金属学を専門とする研究者が、身近な刃物(キッチン包丁・そば切り包丁・
かんな・彫刻刀・オルファナイフ、肥後守ナイフなど)、さらに理美容はさみ、かみそりと医療用メスを
あらゆる視点から金属素材や金属組織の基礎知識や、強化メカニズムなどについて言及している。
驚くことは、多くの刃物を約10年間切り続け、金属組織観察はもちろんのこと、刃角やビッカース硬さ
などを調べている。とくに興味があるのは伝統ある老舗包丁の調査や、 100円包丁の調査である。
さらに付録には刃物素材、基本的な硬さの考え方、炭素量を簡易的に調べる火花試験法など、刃物
に関する基礎知識について言及している。
目次
第1章 刃物の歴史
第2章 金属の基礎知識
第3章 隕鉄の組織学
第4章 ステンレス鋼刃物と金属の強化因子
第5章 和包丁(出刃包丁)の科学分析
第6章 各種汎用刃物の組織と硬さ
第7章 玉鋼と日本刀
第8章 種子島はさみと理美容はさみ
第9章 カミソリと医療用メス
第10章 100円包丁と100円はさみ
第11章 刃角度と3D測定マイクロスコープによる測定と実測値の比較
第12章 打刃物(包丁)づくり体験
第1 3章 付録