最高級の鋼、数々の名刀に使われた幻の「千草鉄」 中学生の力で復活
https://this.kiji.is/447908474187007073
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2018.12.19 神戸新聞
備前(岡山県)の刀匠が愛用し、国宝など数々の名刀に使われたとされる「千草鉄(宍粟鉄)」を用いた小刀を、兵庫県宍粟市千種町の住民グループ「千種まちづくり委員会」が商品化した。千草鉄は明治初期に途絶え現在では生産されていないが、たたら製鉄の体験学習に取り組む千種中学生が作った鉄を相生市の刀匠桔梗隼光さん(45)が鍛錬した。住民らは「幻の千草鉄に手が届く、またとない機会。身近に使って愛着を深めてほしい」としている。(古根川淳也)千種町周辺では不純物の少ない良質の砂鉄が採れ、たたら製鉄で生産された千草鉄は硬すぎず粘りがあり、最高級の鋼として珍重された。しかし明治以降は近代的な技術が普及し、1885(明治18)年に製鉄の歴史を閉じた。千種中では1997年からたたら製鉄の実習を開始。町内で集めた砂鉄を炭火で溶かし、鋼の原料となる「●(けら)」を毎年十数キロ作っている。製品化することが長年の夢だったといい、同校が約100キロ分を同委員会に寄贈した。これまで展示用の日本刀や大工道具を作ったことはあるが、販売用の製品は初めて。初回は●約25キロを使い、古代の刀剣「蕨手刀(わらびてとう)」をヒントに、長さ約18センチ、重さ約50グラムの小刀を約30本鍛造した。作り方は日本刀と同じで、地金を何度も折り重ねて鍛え、刃には木目のような筋や刃文が浮かぶ。千草鉄を初めて扱った桔梗さんは「地金の色が明るく扱いやすい。国宝の刀剣が生み出されたのも納得できる」と鋼の良さに驚いた。初回分は既に関係者に販売した。次回鍛造する約30本を希望者に販売する。1本3万円。収益は同校に寄付し、製鉄実習の経費に充てる。1人1本で先着順。ちくさええとこセンターTEL0790・71・0230 (注)●は「金」の右に「母」