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脱サラ、刀鍛冶に情熱 魚津の高田さん

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薄暗い小屋の中で鋼を熱する火床(ほど)が真っ赤に燃える。魚津市の刀鍛冶高田欣和(よしかず)さん(44)=刀工銘・義景(よしかげ)=が昨年末に富山市で開いた工房。30歳を目前に脱サラ、10年余りの修業を経て新たな一歩を踏み出した。「一生やっていける仕事」。決意を込め、刀に金づちを打ち付ける。
 
 刀制作には、熱した鋼をたたいて刀身を形作る工程や焼き入れ、研ぎなどがある。「最大の見どころの一つ」とされる刃文は焼き入れによるもので、砥石(といし)の粉を混ぜた液状の粘土を刀身に塗りコントロールする。「シビアな作業です」と、土を塗る手先に意識を集中させた。
 
 就職氷河期の1997年に宮崎県の大学を卒業。何とか富山県のスーパーに就職したものの、やりがいを感じることができず、次の会社も長続きしなかった。
 
 当時、漠然と頭にあった“職人”への憧れ。中でも日本刀は形を変えず受け継がれてきた伝統がある。「文化として今後も残る。こんな世界に身を置きたい」と考えるようになった。
 
 2004年春、著名な刀鍛冶である吉原義人(よしんど)さん(75)に師事するため上京。土下座して入門を申し込み、数週間通い続け弟子入りが認められた。最初の半年は刀に触れることもできず、師匠の作業を見よう見まねで覚えた。
 
 当時は友人宅に居候し、アルバイトで生活費を稼いだ。12年に日本刀制作の条件として国が定める研修会を修了。17年には日本美術刀剣保存協会のコンクールで優秀賞に選ばれ、独立への機は熟した。
 
 工房は数年前まで別の刀鍛冶が使っていた仕事場を改修。制作途中の展示など見学者向けの工夫も凝らした。
 
 「いい物ができないとどうしようもない厳しい世界だが、一生懸命やれば何とかなる」。吉原さんからのエールを受け、高田さんは「いつか師匠を超える刀鍛冶になりたい」と意気込む。


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