朝日新聞社
2019/03/23 に公開
2019/03/23 に公開
古来の製鉄法「たたら製鉄」が息づく島根県奥出雲町。一定のリズムで風が送り込まれ、脈を打ったかのような炎が吹き上がる。高さ1・2メートル、幅0・8メートル、奥行き3メートルの土製の炉に火が入ると、対峙する男たちの額にはすぐに汗がにじんだ。日本刀の原料などになる最高級の鋼「玉鋼」を生むために、3昼夜にわたる作業が始まった。
日本美術刀剣保存協会が運営する島根県奥出雲町の製鉄場「日刀保たたら」は、1300年前から続く伝統の製鉄法「たたら製鉄」を唯一残す。1月23日朝にあった火入れ式で、村下と呼ばれる技師長、木原明さんらが最初の砂鉄「初種」を炉内にそそいだ。30分ごとに砂鉄と木炭を加え続け、3昼夜で使う砂鉄と木炭はそれぞれ10~15トン。鋼の純度を高めるため、火炎の勢いに合わせて砂鉄の種類や量、くべる位置を変える。取り出せる玉鋼はわずか500キロほど。
https://www.asahi.com/articles/ASM3441J2M34PTIB008.html