あわら市細呂木地区の住民を核とする「たたら製鉄遺跡保存会」が十九日、公園として整備中の市文化財「細呂木製鉄遺跡」(指中)で、手作りの簡易炉を使った初の製鉄実習を行った。細呂木小学校五年生十二人が、旧町名「金津」の由来ともなった製鉄の歴史や古代製法を学んだ。
同遺跡は県内で唯一、古代製鉄炉が見学できる。製鉄炉や製鉄用の木炭を作る窯など昭和四十年代にあった六基の遺構のうち、現在確認できるのは四基だけ。地権者やNPO法人を交え、住民らで遺跡保存と製鉄文化を発信する拠点の整備を進めてきた。
公園の完成は五月の予定だが、実習に向けた備品の購入やメンバーの講習など準備が終わり、前倒しで企画した。
宇都宮高栄さん(70)らメンバー十四人が指導し、子どもたちはオイル缶を重ねた簡易炉に木炭と砂鉄を交互に入れた。一二〇〇度以上に熱した炉を解体し、水を掛けると鉄の塊が残った。
小阪紗也さん(11)は「金津に製鉄の歴史があったとは知らなかった。公園ができたら来てみたい」と、ハンマーで割った鉄の塊を大事そうに持ち帰った。
(北原愛)2019.3.22 中日新聞