産経新聞 5月10日配信
弥生時代の鍛冶炉実験で、ふいごで風を送って炉の火をおこす市職員=淡路市黒谷の五斗長垣内遺跡
■1300度以上で作業可能
淡路市教育委員会は弥生時代後期に鉄器を製造していたとされる淡路市黒谷の国史跡「五斗長垣内(ごっさかいと)遺跡」で、当時の鍛冶炉の復元実験を行った。3種類の鍛冶炉の温度や燃料消費量、鉄素材の変化など比較検討し、弥生時代の最先端技術を検証した。
弥生時代の鉄器製造遺跡として国内最大規模を誇る五斗長垣内遺跡は地面に炭をそのまま置く鍛冶炉が使われていた。九州などで発見された地面を深く掘った構造の炉の方が高温にできると考えられている。
実験は地面に炭をそのまま置いた五斗長垣内タイプ、炉の周囲に高さ約15センチの土の土手を設置したタイプ、地面を掘って炭と土を重ねて防湿したタイプの3種類の鍛冶炉を設置。炉に木炭、温度計、鉄くぎを入れ、皮で作ったふいごで空気を送り込んで温度やくぎの状態を調べた。
貫頭衣姿の市教委職員が皮ふいごを動かして火を熾(おこ)すと、最高温度は五斗長垣内タイプが1342度、土手を設置したタイプは1325度、地面を掘ったタイプは1480度だった。いずれの炉内でもくぎが溶けたり、2本がくっついたりした。
社会教育課の伊藤宏幸課長は「これまでの実験では1100度を超えるくらいだったが、最高温度はどの炉も高く鍛冶作業するのに必要な温度は得られた。温度の安定性や熱効率に差があり、データを詳しく検証したい」と話していた。