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江戸時代の全国ブランド ~朽木産の天然仕上げ砥石~

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【高島市歴史散歩】
江戸時代の全国ブランド ~朽木産の天然仕上げ砥石~

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砥石の歴史

砥石(といし)の歴史は古く縄文時代にまでさかのぼります。骨角器や磨製(ませい)石器類、玉類の製作には欠かすことのできないものでした。5世紀代の奈良県五条猫塚(ねこづか)古墳の副葬品に石質の荒いものから微(かす)かなものまで6本の粘板岩(ねんばんがん)製の砥石があり、当時から工程あるいは製造品目別に砥石が使い分けられていたと考えられます。平安時代の『延喜(えんぎ)式』には、愛媛県の伊予産砥石の名が各所に出てきていて「伊予砥(いよと)」が著名であったことが分かります。
江戸時代初期の書物である「毛吹草(けふきぐさ)」は、正保2年(1645年)に松江重頼(しげより)によって編纂(へんさん)された百科全書で、7巻のうち4巻に諸国の名産物が紹介されています。近江の項で高島市に関するものとしてこれまでに歴史散歩で紹介してきた「朽木塗物 盆鉢五器(ごき)等」、「高嶋硯」のほか、「炭」、「砥石」が記載されています。
また享保8年(1732年)に当時の膳所藩主の命により藩士の寒川辰清(さむかわとききよ)が編纂した「近江輿地志略(おうみよちしりゃく)」は、近江全域を対象とした初の地誌で圧倒的な情報量を誇る書物です。この中でも「挽物(ひきもの)」、「虎斑石硯(とらふいしすずり)」として産地等を含め紹介しています。「砥石」については「朽木よりこれを出す」と注釈をつけています。

職人に求められた仕上砥

一般に使われる砥石は荒砥(あらと)、中砥(なかと)、仕上砥(しあげと)(合わせ砥)の3つに区分することができます。最近は人工的につくられた合成砥や金属製のものなどもありますが、いくら腕自慢、道具自慢の工匠でも、良い鉋(かんな)や鑿(のみ)を手に入れても、砥石の質が悪かったり、道具の鋼の質に適した砥石でなかったりすると、決して切れ味よく研げるものではありません。昔の職人さんは道具とともに砥石を吟味し、大金を費やして質の良い天然の仕上砥を手に入れたといいます。
仕上砥は、一般に京都市右京区の鳴滝(なるたき)周辺で産出する「本山砥(ほんやまと)」を最上とし、丹波と近江で産出するものがこれに次ぐとされています。

仕上砥の産地、朽木

朽木産の仕上砥が江戸時代初めには産地形成されていたことは明らかですが、採材地や時代別生産量・販路については不明な点が多く、今後の研究が待たれるところです。

朽木下荒川の相岩谷(あいわだに)では昭和の中頃まで丹波や京都の業者によって仕上砥石の採掘がされ、下荒川に作業所があり砥石の整形をしていました。

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出典:広報たかしま 平成28年1月号

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