2016.10.09高知新聞
http://www.kochinews.co.jp/article/54453/
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「土佐の匠」影浦さん製作「ダマスカス包丁」に感嘆
笑顔で握手を交わす影浦賢さん(左端)とケビン・ケントさん=高知県高岡郡梼原町梼原
伝統的な「土佐打刃物」の技法で製作を続ける高知県高岡郡梼原町梼原の影浦賢さん(74)の刃物が、カナダで販路を広げつつある。10月7日には取引先であるカナダの事業者らが工房を訪ね、鍛造の工程や多種多様な刃物を見学。「ビューティフル!」と感嘆の声が上がり、新たな商談も成立した。
影浦さんは職人歴約60年で、2002年には「土佐の匠(たくみ)」に認定された。鉄と鋼を何層にもたたき合わせ、刃に波状の独特の模様を出す「ダマスカス包丁」の専門家で、高知県内外に多くのファンがいる。鉄と鋼は、車や船の廃材を再利用しているという。
波状の模様が浮かぶ「ダマスカス包丁」
約6年前、日本製包丁の海外輸出事業を手掛ける柴田崇行さん(37)=広島県福山市=と、カナダで五つの刃物販売店を経営するケビン・ケントさん(46)が、雑誌で影浦さんの包丁を知り、取引が始まった。今は年間200本ほどの包丁をカナダに出荷している。
現地では料理人だけでなく、一般人にも「切れ味が良く、見た目も美しい」と大人気で、柴田さんは「商品の数さえあればもっと売れる」とし、「材料の段階から全てを作るのはすごい技術。海外ではこういう日本の伝統技術がとても評価されているんです」と話す。
今回は、ケビンさんとその仕事仲間2人が、日本の刃物職人をテーマにした写真集を作る取材の一環で来日した。熱した鉄と鋼を重ね、ハンマーで打ちたたいて鍛える作業などを熱心にカメラに収め、店頭に並ぶ完成品に見入った。
ケビンさんは「影浦さんの刃物は特に人気が高い。作る様子を初めて見たが、とても高い技術で素晴らしい。エキサイティング」と感激した様子。3人は「パーフェクト」「アメイジング」と感嘆しながら、包丁やおのなど新しい商品を仕入れていた。
影浦さんは「こうやって海外の人に本物の土佐打刃物を知ってもらうのはえいこと。ただ、後継者がおらんもんやき責任も感じるわね」と複雑な表情を見せていた。
梼原町梼原1394
影浦工房 影浦賢
0889-65-0012
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