卓越した技能を持つ人を表彰する「現代の名工」に今年選ばれた、打ち刃物の鍛冶職人川澄厳(かわすみいわお)さん(84)=足立区扇=が十六日、同区役所庁舎ホールで始まった「足立伝統工芸品展」で、はさみづくりの実演を披露した。十七日も実演する。 (神谷円香)
川澄さんは父国治さんが始めた鍛冶屋を受け継ぎ、父子二代で現代の名工に選ばれた。植木用のはさみを主に手掛け、刃先に使う鋼や鉄を八〇〇度前後で熱して形作るところから、約八十ある工程のほとんどを手作業で行う。
刃を打つハンマーは鉄より柔らかい銅製。平らだったハンマーの両端は使い込んで丸くなっている。「手が震えてきたら仕事は辞める。それまでは天職だから続ける」と話しつつ、職人技を見に来た客の前で「カンカン」と心地良い金属音を響かせた。
息子や娘は別の仕事に就き、後継者はいない。「弟子を育てるのはもうしんどい年齢」だが、地元の小学校に呼ばれ実演を見せるのは喜んで続けている。何も形がないところから新しい物を生んでいくものづくりの面白さを知り、「やってみたい」と思う子が出てくるのを願っている。
足立伝統工芸品展には区内外の二十四の伝統工芸品のブースが並び、展示販売している。十七日まで。 (東京新聞)
川澄さんは父国治さんが始めた鍛冶屋を受け継ぎ、父子二代で現代の名工に選ばれた。植木用のはさみを主に手掛け、刃先に使う鋼や鉄を八〇〇度前後で熱して形作るところから、約八十ある工程のほとんどを手作業で行う。
刃を打つハンマーは鉄より柔らかい銅製。平らだったハンマーの両端は使い込んで丸くなっている。「手が震えてきたら仕事は辞める。それまでは天職だから続ける」と話しつつ、職人技を見に来た客の前で「カンカン」と心地良い金属音を響かせた。
息子や娘は別の仕事に就き、後継者はいない。「弟子を育てるのはもうしんどい年齢」だが、地元の小学校に呼ばれ実演を見せるのは喜んで続けている。何も形がないところから新しい物を生んでいくものづくりの面白さを知り、「やってみたい」と思う子が出てくるのを願っている。
足立伝統工芸品展には区内外の二十四の伝統工芸品のブースが並び、展示販売している。十七日まで。 (東京新聞)
川澄巌
東京都足立区扇1-3-12
03-3890-1854
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