産経新聞 1/18配信
日本古来の製鉄技術「たたら製鉄」を唯一継承している島根県奥出雲町の「日刀保(にっとうほ)たたら」で18日、火入れ式が行われ、今冬の操業が始まった。
西洋の製鉄技術の影響などで一度は途絶えたが、日本刀の原料となる「玉鋼(たまはがね)」を作るのはこの方法しかなく、日本美術刀剣保存協会などが昭和52年、当地に復活させた。現在は、日刀保たたらの鉄作りが文化財保護法の選定保存技術となっている。
神事のあと、燃えさかる炉の中に「初種(はつだね)」と呼ばれる第1投目の砂鉄を入れると、炉の炎がいっそう高く上がった。これから職人らが交代しながら3昼夜にわたって砂鉄や木炭を入れる作業を続け、炉を壊して「ケラ」と呼ばれる鉄の塊を取り出す。この行程で、10トンの砂鉄から3トンのケラが得られ、その中から上質の玉鋼を選別する。
日刀保の酒井忠久会長は「『刀剣女子』が増え、奥出雲地方などを舞台にした映画『たたら侍』も今年公開される予定で、たたらに注目が集まっている。日本刀文化の継承に力を尽くしたい」と話していた。