福井県越前市の越前打刃物製造業者らでつくる任意団体「越前ブランドプロダクツ・コンソーシアム」が開発した洋包丁セットが、世界的に権威のあるデザイン賞「iFデザインアワード2017」のプロダクト部門で最優秀賞「ゴールドアワード」を獲得した。同コンソーシアムは15、16年の同アワードで連続入賞しているが、ゴールドの受賞は日本の刃物で初の快挙。
同アワードは、ドイツのハノーバーを本拠地とするデザイン団体が1953年から授与している。今回は59カ国から7部門に5575点の応募があり、75点がゴールドを受賞した。福井県内からのゴールド獲得は初めて。3月10日に授賞式があった。
同コンソーシアムは、越前打刃物の海外PRを図ろうと越前打刃物協同組合、タケフナイフビレッジ協同組合や製造業者、武生特殊鋼材などが出資して2013年に設立。京都造形芸術大の村田智明(ちあき)客員教授(57)がデザインし、越前打刃物職人が製作する「iizA」シリーズを展開してきた。
ゴールドを獲得した洋包丁はシリーズ5作目で、筋切り、牛刀、三徳包丁、ペティナイフの4本セット。武生特殊鋼材が材料を提供し、高村刃物製作所の高村光一さん(52)が製作した。「ダマスカス鋼」と呼ばれるステンレス鋼を使用し、刃の表面に特徴である美しい木目のような模様が浮かぶ。越前指物(さしもの)の職人が手掛けた木製スタンドにコンパクトに収納され、精密な仕上げなど品質の高さとともに、機能性も評価された。
21日に同コンソーシアム代表を務める武生特殊鋼材の河野通亜(みちつぐ)会長、河野通郎(みちろう)社長らが同市の武生商工会館で会見を開き、受賞を報告した。
同アワードに多数入賞し、審査員の経験もある村田教授は、高村さんの技術の高さをたたえ「iFは非常に厳しい審査をするが、その中で精度の素晴らしさが評価されたのだと思う」。高村さんは「きちっとしたものを造れば、おのずと感性に訴えるものになると認めていただいた」と静かに喜びを表した。
同アワードに多数入賞し、審査員の経験もある村田教授は、高村さんの技術の高さをたたえ「iFは非常に厳しい審査をするが、その中で精度の素晴らしさが評価されたのだと思う」。高村さんは「きちっとしたものを造れば、おのずと感性に訴えるものになると認めていただいた」と静かに喜びを表した。
同コンソーシアムは人や地球に優しい商品・サービスの普及に取り組む「ソーシャルプロダクツ普及推進協会」(東京)が主催する「ソーシャルプロダクツ・アワード2017」の大賞(国内部門)も3月に受賞し、併せて報告された。
2017.4.22 福井新聞