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瑞宝単光章 越前打刃物 安立勝重さん

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 秋の叙勲の受章者が発表され、県内からは41人が選ばれた。各界で顕著な功績がある人に贈られる旭日章11人、長年公務に従事した人をたたえる瑞宝章30人だった。発令は3日付。

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越前打刃物を製作する安立さん(越前市のタケフナイフビレッジで)

 ◇伝統に新風 世界が評価

瑞宝単光章 越前打刃物製造業 安立勝重さん
 越前打刃物を打ち続けて55年以上。伝統工芸士として今も鍛造で刃物の製作を続けている。受章には「名誉なことでうれしい。ただ、私がもらってもいいのかな」と控えめに笑う。
 高校卒業後に四代目として家業を継いだ。当時は、鎌や菜切り包丁など伝統的な刃物の需要が減り始めた時期。後継者不足も重なり、100軒以上あった工房が次々と店をたたんだ。
 そんな苦境を打開しようと、1970年台に職人約10人で勉強会を始めた。県内出身の工業デザイナー・川崎和男氏からの助言を受けながら、伝統的な打刃物に最先端のデザインを導入しようと、試作品の製作など試行錯誤を重ねた。
 勉強会をきっかけに、93年に共同工房「タケフナイフビレッジ」を設立。当初から中心的なメンバーとして働いた。海外への輸出にも乗り出し、今では製品の半分以上が欧州や北米向けという。「こだわりの鍛造が生み出す切れ味が評価されているのかな」
 かつて刃物生産の主流だった鍛造が今ではほとんど姿を消す中、タケフナイフビレッジの中は「コンコンコン」という音が響き渡る。800~900度まで熱し、赤く焼けた鉄やステンレスなどの金属をハンマーでたたいて鍛える。熱すぎると鋼がもろくなり、冷めすぎるとうまく打てない。「職人は鉄の色で温度を判断するが、一人前になるまでに10年はかかる」という。
 最近は県外などから、職人志望の若者が集まるようになった。「多くの職人が集うこの場所は、親方の技を盗むのに最適。これからは、若手を育てていかなあかん」と技の伝承に力を注ぐ。
2015年11月03日 Copyright © The Yomiuri Shimbun


安立刃物製作所


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