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研ぎ職人の思いは複雑 関で刃物供養祭

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全国から届いた刃物の仕分け作業をする松並孝夫さん=関市平和通の県刃物会館で

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長年使われて役目を終えた刃物に感謝をささげる「刃物供養祭」が八日、関市内で開かれる。ことしは例年より六千本多い約四万一千本の各種刃物が全国から寄せられている。中にはまだ使用できるものや、新しくてもすぐに切れなくなってしまうものも多く、関係者は複雑な思いも抱く。
同市平和通の県刃物会館内にある刃物研ぎ工房。不要刃物の仕分けをする研ぎ職人の松並孝夫さん(72)が、茶色くさびた鋼包丁を研磨機にかけ、ものの十秒-。銀色に輝く刃が現れた。「まだまだ使える包丁だよ。研ぎ方がまずくて、切れなくなっているものも多い」
供養祭に集まる刃物は、包丁、はさみ、かみそり、園芸用刃物などさまざま。供養後は鋼材メーカーで溶かされ、リサイクルされる。県関刃物産業連合会が主催する珍しい取り組みで三十一回目。一九九八年から全国の刃物販売店などに回収ボックスを置いたことで回収数が増えた。
まだ使える包丁を見ると、松並さんは「何でこんな良い物を捨てるのかと思う時もある」と首をかしげる。ただ、研ぎ直して再利用しようにも「やっぱり食べ物を切る物だから。切れ味が戻ったからといって、他人の物を使うのは抵抗があるのかも」。
近年増えているのは輸入物などの安価な包丁だ。ステンレス製で見た目はあまり変わらないが、鋼材が軟らかくすぐに刃が丸くなるため、研いでも切れ味が続かない。「質の悪い物を買ってすぐ捨てるより、良いものを買って長く使う方がいいんだが…」。
研ぎ工房の引き出しには、数年前の供養祭に届いた一本の包丁が保管されている。二十年以上研ぎながら使われたとみられ、小さくなって刃の原形はほとんどないが切れ味は変わらない。「品質が良いものならこまめに研げば、これだけ使えるんだ」と松並さんは力を込めた。
当日は関市南春日町の関鍛冶伝承館前に回収した刃物を並べ、神事を営み、参列者が刃物への感謝を伝える。 (織田龍穂)中日新聞



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