龍泉刃物ステーキナイフは2年待ち
福井新聞ONLINE 8月25日配信
越前打刃物製造の龍泉刃物(福井県越前市池ノ上町、増谷浩司社長)は、越前打刃物の切れ味を生かしたレターオープナーを開発した。かぎ型のデザインを採用し、切れ味と安全性を両立した。
包丁をメーンに商品展開してきた同社にとって文具は初のジャンル。包丁のように、よく切れる商品ができれば、既存のペーパーナイフなどと差別化できると考え、開発を進めてきた。
完成した商品は長さ10・5センチの柄に、先のとがったかぎ型の刀身部分(長さ9・1センチ)が付いている。刀身の根元に付いている刃は幅2センチ。封筒の接着面の隙間に、刀身の先端を差し込み、根元の刃で切る仕組みだ。
刃は刀身の内側にあり、柄との隙間は3ミリ程度しかないため、刃が指に触れることはないという。商品名は、外観の特徴からフランス語で一角獣を示す「LICORNE(リコルネ)」とした。
鋼材は、硬質材と軟質材を交互に幾層も積み重ねた刃物鋼を使用。それを鍛造し、磨き上げることで刀身には、美しい輪模様が付いている。
デザインは増谷社長の幼なじみの工業デザイナー、渡辺弘明さん(55)=越前市出身、東京都在住=が担当。同社と渡辺さんが組んだ商品としては、2013年に発売したステーキナイフがあり、2年待ちの人気商品となっている。ステーキナイフは後続商品も含め、同年と14年のグッドデザイン賞に選ばれている。
リコルネは、柄がアルミのものと木のものがあり、越前漆器の職人と組んだ「漆バージョン」の商品も予定している。価格は、アルミ柄のものが1万8360円。同社オンラインショップのほか、東京・銀座の老舗文具店の伊東屋でも近く販売する。
増谷社長は、リコルネで3年連続となるグッドデザイン賞の獲得に意欲を示し、「わずか2センチの刃の中に、鍛造や研ぎといった越前打刃物の技術が凝縮されている。産地の知名度アップにつながれば」と話している。