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<包丁>研ぎ文化、ジャパンブランドに 海外発信へ意欲

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毎日新聞 4月10日配信
「月山義高刃物店」の藤原将志さん(32)

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包丁を研ぐ優れた技術の習得者を認定する「包丁研ぎマイスター制度」の創設を提唱し、日本商工会議所青年部の「第13回ビジネスプランコンテスト」でグランプリを獲得した三重県松阪市久保町、「月山義高刃物店」の藤原将志さん(32)。包丁販売の傍ら、自らも「包丁研ぎ師」として活動する。世界で人気の和食文化を支える新制度の実現に向け、「日本古来の研ぎ文化を、新たなジャパンブランドとして海外にも発信したい」と意欲を燃やす。【橋本明】

  大学を卒業後、東京の老舗刃物店「木屋」に入社し、百貨店店舗での売り場責任者を務めた。研ぎに関心を深めたのは、客の包丁を研いでいた時、「砥石(といし)の中央部が擦り減ってしまう。これでは厳密な三角形の刃先はできない」と疑問を持ったのがきっかけだった。以来、砥石を平らに研ぐ作業を重視したという。
  4年後、松阪に戻り、家業の刃物店を父親と切り盛りすることになった時、不安が生じた。「どうすれば創業70年の店を守れるのか」。目を向けたのが研ぎの技術だった。業界では合成砥石を用いた機械研磨が主流で、天然砥石を用いる包丁研ぎ師の姿は見当たらず、「研ぎの文化を究めれば、地方の店でも勝負できる」と思ったという。
  独学での研究と試行錯誤が始まった。関連書物はなく、あちこちの調理学校を訪ねても、研ぎの技術をきちんと教えるケースは発見できなかった。京都・亀岡産の天然砥石を特注し店内に研ぎの環境を整えたほか、専用の顕微鏡まで設置し、技術を追究した。「最高の切れ味を長く持続させるには、2~3マイクロメートルの炭化物の粒を、刃先にきれいに並べるように研ぐことが重要」と話し、顕微鏡で研ぎ具合を確認する徹底ぶりだ。
  研ぎ技術の普及のために、講演や、自宅に料理人を招くなどして重要性を訴えてきた。接した料理人は6年間で900人を超え、中には米国、イギリス、中国などの外国人もいる。「包丁と砥石大全」(誠文堂新光社)など2冊の本も監修した。
  包丁の切れ味が料理の味を左右することを、科学的に示す活動にも取り組んでいる。奈良県産業振興総合センターなどの協力で、味覚センサーを用いた実験から、トマト、ピーマンなどの野菜は、切れ味が悪いと苦みや雑味が増えるとの結果を得た。「今度は栄養価がどう変わるのかも検証したい。研ぎの奥は果てしなく深い」と笑う。


月山義高刃物店


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