2019年08月号/巻頭特集/八代の職人たち
刀匠 刃物職人:森 琢象さん●森鍛治刃物店
https://www.8-pre.net/2019/08/%E5%B7%BB%E9%A0%AD%E7%89%B9%E9%9B%86-%E5%85%AB%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%81%B7%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1/
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700年間の伝統と技が、世界が注目する鋭い切れ味を生む。
鎌倉時代に、初代・刀匠 金剛兵衛源森が、大宰府で修験道者の刀を鍛えたことに始まり、700年にわたって刃物を作り続けている『森鍛冶刃物店』。鋭い切れ味の包丁は、国内や海外でも高く評価され、現在生産量の4割を57ヵ国以上に出荷するほど。
その優れた製品を、親方職人として手掛けるのが森琢象さん。人間国宝級の名人であった父の元で修練を重ね、27歳の若さで刀匠となった現代の名工です。森家は五代前の幕末期に「刀を本業とするべからず」と家訓に定められて以降は、包丁を中心に製作しています。手工業を取り巻く厳しい現状の中でも森製品が多くの人に求められているのは、刀匠の技あってこそ。「日本の刃物は、日本刀の工法である、鉄と鋼を合わせる“鋼の割り込み鍛接”が特徴。この製造技術は炉の温度管理が難しく、最適な温度になる一瞬を逃さない熟練の技が必要です。今は、この工程を省いた出来合いの複合材もあり、それを使用すれば簡単で製造量も増やせますが、切れ味、品質には満足できません。」
非常に困難な作業ながら、あえて自家鍛接に拘るのは刀匠の意地。古から受け継がれた技と精神が、世界から注目される最高の切れ味、品質を支えています。