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極上の玉鋼求め 奥出雲「日刀保たたら」今冬も操業

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産経新聞 1月24日配信

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砂鉄と木炭が投入され、燃えさかる炉(写真:産経新聞)

 島根県奥出雲町の「日刀保たたら」高殿で、今冬も昔ながらの鉄作りが始まった。日本で生まれた独特の製鉄法「たたら吹き」を継承する“鉄の聖地”で、職人たちが3昼夜にわたって砂鉄と木炭を交互にくべ続ける。この営みが2月上旬までに計3回繰り返され、日本刀の原料となる貴重な玉鋼が作り出される。(小林宏之)

  ◆炎見つめ砂鉄、木炭投入

  「よし!」

  高殿の中に響く「村下(むらげ)」の声に従い、職人たちが燃えさかる炎の中に木炭を投入する。村下は、操業の最高技術責任者。自ら砂鉄を選び、操業のたびに炉床や炉を築き、3昼夜にわたる作業の間、炎を見つめながら砂鉄や木炭の投入量を決め、送風をつかさどる。
  たたら吹きは国選定保存技術で、村下は同技術保持者。昭和61年に村下となった木原明さん(80)は「名刀を生み出す良質の玉鋼作りに全霊をささげ、後継者の養成にも努めたい」と話す。

  ◇良質産地、衰退経て復活

  鳥取、広島両県境に近い奥出雲地方は良質の砂鉄と森林資源に恵まれ、古くからたたら製鉄が盛んに行われた。江戸時代後期から明治期にかけては、国内生産量の半分をこの地の鉄が占めるほどだった。
  西洋の製鉄技術導入に伴ってたたら吹きは衰退。昭和の一時期、軍刀需要で復活するものの戦後には廃絶し、玉鋼は底をついてしまう。このため、刀匠らの求めに応じるとともに伝統継承の必要性から、日本美術刀剣保存協会が日立金属などの協力を得て「靖国たたら跡」を日刀保たたらとして復元。昭和52年以降、操業を続けている。
  砂鉄や木炭などは今も地元産。砂鉄の採取から木炭の焼成、炉を作る粘土の採取など必要な作業は多岐にわたり、「炉の操業は冬の一時期だが、これらの作業を含めてたたら操業は1年がかりといえる」と、協会担当者が話す。

  ◆昨冬、地下構造を改修

  高殿に据えられた炉の下には、「床釣り」と呼ばれる地下構造が深さ3メートルにわたって築かれている。砕石の上に大きめの石、さらに砂利や真砂土を敷くなど、複雑な構造を持つ。高温維持と防湿、排水のための巧みな工夫だそうだ。
  昨シーズンは、たたらの復活以来初めてその地下構造が改修された。小野裕会長は「改修が玉鋼の品質向上につながった。今冬はさらに上質の玉鋼ができる」と、期待をふくらませた。
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